○豊頃町認知症初期集中支援推進事業実施要綱
平成29年1月10日
訓令第1号
(目的)
第1条 この要綱は、認知症の人やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム」(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とした「豊頃町認知症初期集中支援推進事業」の実施に際して、必要な事項を定めるものする。
(実施主体)
第2条 本事業の実施主体は豊頃町とする。ただし、事業の一部を適切な事業運営が確保できると認められる団体等に委託することができる。
ア 医療サービス、介護サービスを受けていない者又は中断している者で、以下のいずれかに該当する者
(ア) 認知症疾患の臨床診断を受けていない者
(イ) 継続的な医療サービスを受けていない者
(ウ) 適切な介護サービスに結び付いていない者
(エ) 診断されたが介護サービスが中断している者
イ 医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動及び心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者
ウ その他町長が認める者
(2) 認知症初期集中支援チーム 認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が訪問支援対象者及びその家族を訪問、観察・評価及び家族支援等の初期の支援を包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを行うもの。また、支援チームは、豊頃町地域包括支援センター職員、豊頃町保健師、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員及び介護事業者との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保する。
(支援チームの配置)
第4条 支援チームは、豊頃町地域包括支援センターに配置する。
(1) 次の要件をすべて満たすもの2名以上とする。
ア 「保健師、看護師、准看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士」等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者。
イ 認知症ケア実務経験3年以上又は在宅ケア実務経験3年以上を有する者。
ウ 国が別途定める認知症初期集中支援チーム員研修を受講し、必要な知識・技能を修得した者。ただし、やむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能とする。
(2) 日本老年精神学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医である医師1名とする。ただし、これにより難い場合は、当分の間、次の要件を満たす医師も認めることとする。
ア 日本老年精神学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のある者。
イ 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断及び治療に5年以上従事した経験を有する者(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)
(チーム員の役割)
第6条 前条第1項第1号を満たす専門職は、目的を果たすために訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。
2 前条第1項第2号を満たす専門医は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行う。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応じる。
3 訪問する場合のチーム員数は、初回の観察・評価の訪問は原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上で訪問する。また観察・評価票の記入は、チーム員である保健師又は看護師が行う。
(認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置)
第7条 医療・保健・福祉に携わる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム検討委員会」(以下「検討委員会」という。)は、「豊頃町地域包括支援センター運営協議会」に置く。当該検討委員会は、関係機関・団体と一体的に当該事業を推進していくための合意が得られる場となるよう努める。
2 支援チーム及び医療関係者の連携を図るため、認知症疾患医療センター及び地元医師会の事前協議並びに主治医に対する連絡票等情報の共有化に向けたツールの作成並びにそれを用いた地域の連携システムの構築を図る。
(事業内容)
第8条 事業内容は、次に掲げる事項について実施する。
(1) 支援チームに関する普及啓発
地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う等、各地域の実情に応じた取り組みを行うものとする。
(2) 認知症初期集中支援の実施
ア 訪問支援対象者の把握
訪問支援対象者の把握については、支援チームが地域包括支援センター及び認知症疾患医療センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮することとし、チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターと情報共有を図るものとする。
イ 情報収集及び観察・評価
支援チームは、本人のほか家族等のあらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集するとともに、信頼性・妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行う。
ウ 初回訪問時の支援
支援チームは、初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等を行う。
エ 専門医を含めたチーム員会議の開催
支援チームは、初回訪問後、訪問支援対象者ごとに、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行う。必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、地域包括支援センター職員、関係課職員等の参加も依頼する。
オ 初期集中支援の実施
支援チームは、医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行う。支援期間は、訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6か月とする。
カ 引き継ぎ後のモニタリング
支援チームは、初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行うこととする。また、チーム員会議において、引き継ぎの2か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行う。
キ 記録等の保管
支援チームは、訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類を5年間適切に管理、保管しなければならない。
(個人情報の保護)
第9条 チーム員は、本事業に関して収集した個人情報については、個人情報保護法の規定等に従い、訪問支援対象者及び対象者世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。また、その職を退いた後も同様とする。
(その他)
第10条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は町長が別に定める。
附則
(施行期日)
この要綱は、平成29年4月1日から施行する。