○豊頃町下水道排水設備要綱

平成7年3月31日

要綱第1号

第1章 総則

1 目的

この要綱は、豊頃町公共下水道条例及び同施行規則並びに豊頃町排水設備等工事の指定業者に関する規則に係る手続き、設計、施工の基準を定めることを目的とする。

2 用語の定義

(1) 下水

生活若しくは事業(工作の事業を除く。)に起因し、若しくは附随する廃水又は雨水をいう。

(2) 下水道

下水を排除するために設けられる排水管、排水渠その他の排水施設に接続して下水を処理するために設けられる処理施設(し尿浄化槽を除く。)又はこれらの施設を補完するために設けられるポンプ施設その他の総体をいう。

(3) 公共下水道

主として、市街地における下水を排除し、又は処理するために地方公共団体が管理する下水道をいう。

(4) 終末処理場

下水を最終的に処理して河川その他の公共の水域又は海域に放流するために下水道の施設として設けられる処理施設及びこれを補完する施設をいう。

(5) 汚水

生活若しくは事業に起因し、若しくは附随する廃水をいう。

(6) 排水設備

土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な汚水管、排水渠その他の排水施設をいう。

(7) 排水

建物及びその敷地内の汚水、雑排水、雨水、排水等又は捨て水の総称をいう。

(8) 排水区域

公共下水道により下水を排除することができる区域内で、下水道法に基づき告示された区域をいう。

(9) 処理区域

排水区域のうち排除された下水を終末処理場により処理することができる地域で、下水道法に基づき告示された区域をいう。

(10) 簡易処理

下水を沈殿法によって処理することをいう。

(11) 工場排水

工場等から排水される廃水をいう。

(12) 排除方式

分流式又は合流式による下水の排除方法をいう。

(13) 分流式

汚水及び雨水をそれぞれ別の下水管渠で排除する方式をいう。

(14) 合流式

汚水及び雨水を同一の下水管渠で排除する方式をいう。

(15) 廃水系統

排水区域内の下水流下経路の体系をいう。

(16) 下水管路

下水管、マンホール、取付管等の総称をいう。

(17) 土被り

地表から埋設された管渠の天端までの深さをいう。

(18) マンホール

検査又は掃除のために人が出入りするための施設をいう。

(19) 公共雨水桝

雨水の排水管を取りまとめて、下水に導入流下させるとともに、点検掃除をも目的とし、町が管理する桝をいう。

(20) 公共汚水桝

汚水の排水管を取りまとめて、下流に導入流下させるとともに、点検掃除をも目的とし、町が管理する桝をいう。

(21) 私設雨水桝

個人の敷地内の雨水の排水管を取りまとめて、下流に導入流下させるとともに、点検掃除をも目的とし、個人が管理する桝をいう。

(22) 私設汚水桝

個人の敷地内の汚水の排水管を取りまとめて、下流に導入流下させるとともに、点検掃除をも目的とし、個人が管理する桝をいう。

(23) 特定施設

水質汚濁防止法第2条第2項で定められている施設をいう。具体的な特定施設は、同法施行令第1条別表第1に掲げる施設が定められている。

(24) 特定事業場

特定施設を設置する工場又は事業場をいう。

(25) 悪質下水

下水排除基準に適合しない下水をいう。

(26) 除害施設

悪質下水を除去するために必要な施設で、下水道法第12条に規定されている。

(27) トラップ

衛生器具に内蔵するか、又はそれらの付属品として、あるいは排水系統中の装置として、その内部に封水深をもち、排水の流れに支障を与えることなく、同時に排水中の空気が排水口から室内に侵入してくるのを阻止することができるものをいう。

(28) 器具トラップ

各種衛生器具に適応した形状、構造をもった付属トラップをいう。

(29) あふれ縁(面)

衛生器具から水があふれ落ちようとする上縁又はオーバーフローを越えてあふれ始める水平面をいう。

(30) 通気管

トラップ封水がサイフォン作用や背圧によって破封されるのを防止し、排水系統内の流動を円滑にするために設ける管をいう。

3 排水設備の意義

台所や風呂場から流れた生活排水がドブや水たまりとなって悪臭を放ち、ハエや蚊が発生したり病気の原因となったりしています。こうした環境悪化の原因となる汚水を速やかに公共下水道に排除し、環境の保全を図るため排水設備が設置されます。

4 排水設備の範囲

排水設備は下水道法第10条第1項に規定する「公共下水道の供用が開始された排水区域内の土地の公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設」をいう。

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5 排水設備の設置義務

下水道法第10条第1項において「公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なくその土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設を設置しなければならない。」とされているが、条例において「供用が開始された場合においては、速やかに当該排水施設を設置しなければならない。」と期間を明記している。又、くみ取り便所については、下水道法第11条の3第1項で「下水の処理を開始すべき日から3年以内に、その便所を水洗便所に改造しなければならない。」と規定され、さらに新築については建築基準法第31条において「処理区域内においては、便所は、水洗便所以外の便所としてはならない。」と規定されている。

第2章 手続き

1 工事の流れ

(1) 排水設備工事にあたっては、次の方法で行わなければならない。

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2 工事手続き書類

(1) 排水設備

① 排水設備等設置確認申請書(別記様式第1号)

ア 付近見取図

イ 配置図

ウ 平面図

エ 縦断図

② 排水設備等計画確認書(別記様式第2号)

③ 排水設備等工事完了届(別記様式第3号)

ア 平面図

イ 縦断図

④ 排水設備等工事検査済証(別記様式第4号)

⑤ 公共下水道使用開始届(別記様式第9号)

⑥ 公共下水道使用休止届(別記様式第10号)

⑦ 公共下水道使用者変更届(別記様式第11号)

(2) 除害施設

① 除害施設設置等届(別記様式第5号)

② 除害施設使用休止届(別記様式第6号)

③ 除害施設設置等工事完了届(別記様式第7号)

④ 除害施設設置等受理書(別記様式第8号)

(3) 特定施設

① 特定施設設置届出書(下水道法様式第6)

② 特定施設使用届出書(下水道法様式第7)

③ 受理書(下水道法様式第9)

(4) その他

① 制限行為許可申請書(別記様式第12号)

② 制限行為許可書(別記様式第13号)

③ 公共下水道敷地占用許可申請書(別記様式第14号)

④ 公共下水道敷地占用許可書(別記様式第15号)

⑤ 特定施設の構造等変更届出書(下水道法様式第8)

⑥ 氏名変更等届出書(下水道法様式第10)

⑦ 特定施設使用廃止等届出書(下水道法様式第11)

⑧ 承継届出書(下水道法様式第12)

第3章 調査測量

設計に必要な調査及び測量は排水設備工事指定業者が行う。

1 下水道台帳の確認

(1) 現場調査に先がけて、必ず下水道台帳で処理区域かどうか確認し、又公共汚水桝の有無及びその状態(深さ、使用許可、既排水設備の有無)等を確認すること。

(2) 公共汚水桝が設置されていない場合は、町の下水道担当者と打ち合わせ、指示を受けること。

2 現場の調査

(1) 設計に必要な調査及び測量は、主任技術者が行わなければならない。

(2) 現場調査は、建物の平面、公道、私道、隣接地との境界、公共下水道の本管及び汚水桝、その他既設の排水設備等を測量し、施設の設置予定位置における距離、地盤高、公共下水道本管及び汚水桝などの深さを記入しなければならない。

(3) 他人の土地及び他人の既設の排水設備を利用しようとする場合又は便所の設置者がその建物の所有者でない場合は、あらかじめ利害関係者の同意を得るよう設置者に連絡し、後日紛争の起きないよう留意しなければならない。

(4) 家屋の増改築などの将来計画を考慮して、後々布設替えの生じないよう充分打ち合わせをしなければならない。

(5) 大量の下水又は悪質な汚水を排除されるおそれのある場合はあらかじめ下水道管理者に申し出て、その指示を受けなければならない。

(6) 衛生器具の選定や便所の改造等については、設置者と十分打ち合わせをしなければならない。

(7) 給水管等地下埋設の状態を関係機関に出向いて調査し、協議を充分に行い損傷その他の事故の絶無を図らなければならない。

第4章 設計

1 設計

(1) 設計にあたっては、法令及び条例等に定められている構造上の基準に従うほか、設置者の希望や意見及び将来計画等について十分聞き取り調査をしたうえで維持管理及び経済性を考慮した構造、工期、工事方法を決定しなければならない。

(2) 供用開始の告示のあった区域で排水設備を改造又は設置する場合には既存の器具(台所、手洗い、浴室等)にトラップがなく、下水道から臭気が屋内に侵入することがあるので、設計にあたっては特にトラップ桝、排水管等を点検して対応処置を講じなければならない。

(3) 工場、大型店舗の排水設備を設置する場合は、公共下水道の流下能力を検討し、余裕のない場合は接続系統を分散するなどし、町の下水道担当者と協議のうえ設計しなければならない。

2 付近見取図

一街区程度の範囲に申請地の位置、道路及び隣接家屋の屋号又は氏名、方向及びめぼしい目標などを記入し、申請地を赤線で表示すること。

なお、縮尺は概ね3,000分の1以上とする。

3 平面図

縮尺は100分の1を基準とし、次の事項を表示しなければならない。

(1) 建物(台所、浴室、洗濯場、便所、洗面所、玄関、井戸、その他必要な排水箇所及び既設の排水設備、水道栓の位置等)及び境界

(2) 縮尺、方位、公共汚水桝、屋外排水管の材質、管径、延長

(3) 掃除口及び桝の大きさ、深さ、番号

(4) 衛生器具、トラップの位置と種類

4 縦断図

縦断図の距離は200分の1の縮尺、高さは50分の1とし、次の事項を記入表示すること。

(1) 公共汚水桝を起点とした距離

(2) 公共汚水桝の管低高を0.00mとする。

(3) 各測点(会合点、終点地等)の排水管の管高低及び土被り

(4) 各測点間ごとの排水管勾配(%)及び管径、管種

5 配管立面図

室内の配管系統、管種、管径、寸法、その他の設備(器具名称)を表示すること。

6 構造詳細図

縮尺は10分の1とし、平面図、断面図に寸法等を記入し特殊なものについては仕様を添付すること。

7 除害施設

作成要領は7の詳細図によらなければならない。

8 見積書

見積書には次の事項を記載しなければならない。

(1) 設置申請者名、設置場所、指定店業者名、見積年月日、見積金額、予定工期、見積内訳書

(2) 見積内訳書は種別、細別、数量、単位、単価、金額及び摘要欄に必要事項を記入のこと。

(3) 資材の規格形状寸法(できるだけ詳細に記入すること。)

第5章 設計基準

1 排水管とは、上水道給水管と異なり自然流下により流すものであるから適正な断面と勾配を与え、汚水を確実にかつ衛生的に排除する施設をいい屋外排水管と屋内排水管に分けられる。

(1) 屋外排水管

建物外壁面から外側へ1m前後の地点より始まり、排水本管を通り公共汚水桝の流入点までの配管部分をいう。

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① 増設、改築など将来計画をも考慮し、後々布設替えを生じないよう十分な管径、勾配を選ぶこと。

排水管の呼び径と標準勾配は表―1のとおりとする。

表―1 排水管の呼び径と標準勾配

排水人口

(単位:人)

排水管の内径

(単位:mm)

150未満

100 (勾配2/100)

150以上300未満

125 (勾配1.7/100)

300以上500未満

150 (勾配1.5/100)

500以上

200以上(勾配1.3/100)

ただし、一つの建築物から排除される汚水の一部を排除すべき排水管で延長3m以下のものの内径は75mm(勾配2/100)以上とすることができる。

② 配管経路は最短距離を原則とする。なお、床下などの便宜的な縦横断は、排水管の故障が発見しにくいため避けること。

③ 配管材料は、すべて日本産業規格(JIS)又は下水道協会規格(JSWAS)の硬質塩化ビニール管若しくは同等以上のものを使用すること。

④ 排水管の土被りは70cm以上とすること。

⑤ 原則として排水管は建物との離れを1.0m以内とすること。

⑥ 排水管の配管は90度以上とし、屋内排水管からの会合部も同じとする。

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(2) 屋内排管

器具の接続箇所から屋外排水管までの部分を言う。なお、配管は使用目的別とすることが望ましい。

① 使用目的により分類

ア 汚水:大便器、流し台、ビデ、便器、消火器などからの水

イ 雑排水:洗面器、流し類、浴槽など汚水以外の一般器具からの排水

ウ 特殊排水:工場廃液などの有毒なものを含んだ排水や放射能を含んだ排水

② 口径、勾配の決定

屋内配管の勾配は、φ75mm以下の場合2/100、φ100mm以上の場合は1/100とし、口径の決定にあたっては、下記のことに注意しなければならない。

ア 汚水管で固形物を含む汚水を流す最小管径は、φ75mm以上なければならない。

イ 地中又は地階の床下に埋設される排水管の管径は、φ75mm以上なければならない。

ウ 汚水又は雑排水の立管、横走管、いずれの場合でも排水の流下方向の管径を縮小してはならない。

エ 排水横走管の管径は、これに接続する衛生器具の付属トラップの最大管径のもの以上でなければならない。

オ 汚水又は雑排水の立管の管径は、これに接続する排水横走管のうち最大管径のもの以上でなければならない。

カ トラップ、器具及び排水管の最小管径については、表―2のとおりとする。

表―2 器具排水管径のトラップ径口

器具

器具排水管の最小管径

トラップ最小口径

大便器

75

75

小便器(大型)

40~50

40~50

小便器(小型)

40

40

洗面器

30

30

浴槽(和風)

30

30

浴槽(洋風)

40

40

調理用流し

40

40

床排水

40~75

40~75

手洗器

30

25

2 掃除口及び汚水桝

掃除口及び汚水桝は排水管の維持管理が容易にできるように設け、構造は次のとおりとする。

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(1) 設置場所

設置個所は次のとおりとする。

① 掃除口及び汚水桝

ア 屋外排水管の屈曲部が45度を超えるとき。

イ 直線部がその内径の120倍程度を超えない清掃上適当な個所

ウ 屋外トラップを使用したとき。

エ 排水管の終点及び合流個所

オ 桝等との接続のために、縦断勾配が45度を超えるとき、又は高低差が1m以上のとき。

カ 便所の分離トラップは掃除口を設けること。

② 上記によりがたい場合は、町の下水道担当者と協議すること。

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(2) 設置場所の決定についての注意事項

設置場所は、排水管の延長が最も短くなるよう考慮するとともに、次の事項について充分配意すること。

① 検査、掃除及び補修にもっとも支障の少ない場所

② 車両等の重量物の通過しない場所で、日当たりが良く落雪の少ない場所

③ 石炭灰、土砂、雑物等によって陰閉されるおそれのない場所で降雨時などにも雨水流路にならない場所

3 トラップ

トラップは、排水管内又は公共下水道からの下水ガス、臭気及び害虫等が屋内に侵入するのを防止するために設ける装置で、通常は封水をもつトラップである。封水トラップには、器具に内蔵されている内蔵トラップ器具に付属して設けられる器具トラップ、排水管の途中に設けられるUトラップ及び排水管の端末を排水桝などに水没させてトラップとして機能をもたせたトラップ桝などがある。

(1) トラップの要件

① 構造が簡単で排水管の材質と同程度のもので、器具に接続しやすいものであること。

② 非吸水性、耐食性の材質で、流水内面が平滑であること。

③ トラップ自身の作用により、容易に内部洗浄ができるものであること。

④ トラップの封水深は、50mm以上100mm以下のものであること。

⑤ 検査掃除等が容易であること。

⑥ 灰後部の土被ぶりが70cm以下の場合又は取付位置が砂利層の場合においては、保温トラップとすること。

(2) トラップの種類

①Pトラップ ②Sトラップ ③Uトラップ ④ドラムトラップ ⑤ワントラップ等がある。

4 ストレーナー(目皿)

浴場、流し場等の汚水流出口には、固形物の流下を防止するのに有効な目幅をもつストレーナーを設けること。

ストレーナーの開口有効面積は、流出側に接続する排水管の断面積以上とし、目幅は8mmの球が通過しない大きさとする。

なお、床排水トラップには、取りはずしのできるストレーナーを設けること。

5 阻集器

阻集器は、下水に混入するグリース、可燃性溶剤、土砂等の有害物質をできるだけ阻止収集して、排水設備及び公共下水道に流入するのを防止するために設けられる。

(1) 阻集器設置の条件

① 阻集器にはトラップ機能をあわせ持つものが多く、これに器具トラップを設けると二重トラップとなるおそれがあるので十分注意しなければならない。

② 阻集器を設ける有効な位置は、有害物質が混入するおそれがある器具又は装置にできるだけ近くに設置しなければならない。

③ 阻集器は、汚水から油脂、ガソリン、土砂等を有効に分離できる構造でなければならない。

④ 阻集器は、容易に保守、点検ができる構造とし、材料は鋳鉄製など不浸透の耐食材料を使用しなければならない。

⑤ 阻集器に密閉ぶたを使用する場合は、適当な通気性のある構造でなければならない。

⑥ 阻集器は、一般に水封式トラップの形式のもので、内部にスクリーンや沈殿槽を設けて有害物質を収集するため定期的に回収し、掃除を行わなければならない。

(2) 阻集器の種類

①グリース阻集器 ②オイル阻集器 ③サンド阻集器 ④ヘア阻集器 ⑤ランドリィ阻集器 ⑥プラスタ阻集器等がある。

6 排水槽(排水タンク)

排水槽とは、公共下水道より低い個所における建築の地階等から排出される汚水又は雨水を一度自然流下によって集水し、排水ポンプ・インジェクター又はその他有効な方法でくみ上げ公共下水道へ排除するための槽をいう。

(1) 排水槽の設置の条件

① 汚水、雑排水、湧水は原則としてそれぞれ分離した排水槽とすること。

② 内部の保守点検用マンホールを設けなければならない。

③ 底部には吸い込みピットを設け、かつ、ピットに向かって15分の1以上10分の1以下の勾配をつけなければならない。

④ 構築には、耐水材を使用し、漏水しない構造でなければならない。

⑤ 通気の装置を設け当該装置は直接外気に衛生的に開放しなければならない。

⑥ 通気のための装置以外の部分から臭気の洩れない構造でなければならない。

⑦ ポンプ設備は、原則として予備ポンプを設けること。

⑧ ポンプ排水した汚水等は、自然流下の排水系統に排出しなければならない。

7 通気管

建築物内における排水を支障なく安全に、速やかに屋外排水に排出させるには、屋内排水管内の圧力と大気圧との差が水柱25mmを超えない構造としなければならない。すなわち、通気管は排水管内の空気が配管のどの部分でも自由に流通し得るように空気の出入り用の管を排水配管の要所に設け排水による管内気圧の差異をできるだけ解消する機能をもたせたものであること。

(1) 通気管の主な目的

① サイホン作用及び背圧から排水トラップの封水を保護する。

② 排水管内の流水を円滑にする。

③ 排水管内に空気を流通させて、排水系統内の換気を行う。

(2) 通気管の主な設置場所

① 大便器、浴槽、洗濯槽、掃除用流し、料理用流し等の一時に多量の汚水が流下する排水管及びこれに接続する枝管

② 排水立管の伸頂部

③ 排水主管の最も上流部分

(3) 通気管設置の条件

① 通気立管の上部は管径を縮小せず延長し、その上端は単独に大気中に開口するか、又は最高位器具あふれ縁から150mm以上高い位置で伸頂通気管に接続しなければならない。

② 屋根を貫通する通気管は、屋根から150mm以上立ち上げて大気中に開口しなければならない。

③ 屋上を庭園、運動場、物干し場などに使用する場合は、屋上を貫通する通気管は屋上から2m立ち上げて大気中に開口しなければならない。

④ 通気管の端末がその建築物及び隣接建物の出入り口、窓、換気孔などの付近にある場合は、それらの換気用開口部の上端から600mm以上立ち上げて大気中に開口する。もしこれができない場合は、各換気用開口部から水平に3m以上離さなければならない。

⑤ 通気管は、横走りする排水管の中心線部から垂直又は45度以内の角度で取り出し最寄りの個所に立ち上げてその排水系統の最高位衛生器具のあふれ縁から少なくとも150mm上方で横走りさせるか、又は通気枝管に接続しなければならない。

⑥ 汚水の流入により通気が妨げられないように、逆勾配に排水管に接続してはならない。

⑦ 直接外気にかつ衛生上有効に開放しなければならない。

(4) 通気管の口径

① ループ通気管の口径は、排水横管と通気立管のうちいずれか小さい方の管の1/2より小さくしてはならない。ただし、その最小口径は30mmとする。

② 排水横枝管の逃し通気管の口径は、それに接続する排水横管の管径の1/2より小さくしてはならない。ただし、その最小口径は30mmとする。

③ 伸頂通気管は、口径を縮小せずに延長し、大気中に開放しなければならない。

④ 各個通気管の口径は、それが接続される排水管の1/2より小さくしてはならない。ただし、その最小口径は30mmとする。

⑤ 排水立管のオフセットの逃し通気管の口径は通気立管と排水立管のうち、いずれか小さい方の管径以上にしなければならない。

⑥ 排水槽の通気管の口径は、いかなる場合にも50mmより小さくしてはならない。

8 間接排水

次に掲げる機器、装置からの排水及びオーバーフローは、直接排水管に連結せず間接排水とする。

(1) 冷凍関係――冷蔵庫、冷凍庫、ショーケースなどの食品冷凍・冷凍機器

(2) 厨房関係――食品洗い用流し、消毒器、すすぎ用流しなどの厨房機器

(3) 洗濯器関係――洗濯器、脱水機

(4) 水のみ器――水のみ器、飲料冷水機、給茶

(5) 医療、研究用器機――滅菌器、蒸留水装置、洗浄装置などの医療研究用器機

(6) 水泳用プール――プール排水、プールオーバーフロー水、逆洗水

(7) 給水関係――ボイラ・空気調和器、給水タンク等の水抜管及びオーバーフロー水

(8) 蒸気、水温系統――ボイラ・熱交換器及び給湯用タンクからの排水、蒸気管のドリップなどの排水は、45度以下に冷却した後間接排水とする。

第6章 検査

1 写真検査

(1) 地下に埋設されるトラップ、会合点掃除口、屈曲点等は、工事写真を撮って提出しなければならない。

(2) 写真がない場合は、掘り返して検査を行うものとする。

2 竣工検査

(1) 工事竣工にあたっては、社内検査の実施後において使用者、主任技術者立会のうえ、町の検査を受けなければならない。

(2) 検査に合格したときは、検査済証を交付するものとする。

第7章 施工

設計がいかに綿密精巧なものであっても現場における施工が粗雑あるいは不良の場合は、排水の阻害、漏水、その他不測の事態を引き起こし、衛生上にもいろいろな弊害を及ぼすことになるので工事に際しては、次の事項を確認し施工しなければならない。

なお、施工監督にあたる主任技術者は、排水設備工事の工程、施工方法又は接合方法等の技術に関する一切について配管工及び現場従事者を指導すること。

1 一般事項

(1) 施工にあたっては、この要綱のほか関係法規に従い、適正な工事事故防止に充分留意しなければならない。

(2) 工事は、設計図書に基づいて正確に行い、道路関係(所管警察、道路管理者)及び河川関係(河川管理者)の許可、土地家屋所有者の承諾を得て、発注者と十分打合せのうえ行わなければならない。

(3) 地下埋設物には十分注意し、適切な措置を講じ障害を起こさないようしなければならない。

(4) 工事は原則として交通に支障の及ぼさない日時に行い、歩道は1.0m以上、車道は片側通行若しくは1車線以上の幅員を確保し、特に道路横断する工事、その他交通遮断する工事の場合は交通量の最も少ない時間帯を選定し、道路関係者の指示を受けなければならない。

(5) 工事標識の設置については、工事表示板、バリケード、道路用警戒標識、案内標識を設置し、夜間については赤色灯を設置しなければならない。

(6) 既排水設備の一部改造及び撤去を伴う場合には、その構造各部分の完全な接続、補修、閉寒その他必要な措置を講じなければならない。

(7) 屋外作業、屋内作業を問わず新築工事以外の建物に伴う工事は、発注者の日常生活に与える影響を最小限に抑えなければならない。

(8) 発注者の要求、建物の模様替え及び不測の障害物などにより設計変更する場合は、事前に関係者と十分協議し、町の確認を得てから施工しなければならない。

(9) 工事完了後、残材、石くず、残土及びゴミ類の始末、又は工事のため一時取壊した構造物の復旧などの工事後の整理を完全に行わなければならない。

2 土工

(1) 掘削・基礎工

① 掘削は設計図に基づきやり方を設けてから着手しなければならない。

② 掘削土砂は、表層土を区分整理し、埋め戻しに利用できるように心がけ、冬期間の掘削にあたっては、表土が下層(埋設管近く)の埋め戻しに混入しないよう十分注意するとともに掘削工の内部が凍結しないよう即時埋め戻さなければならない。

③ 掘削は、必要に応じて相応の土留め、家屋防護及び締切等を施し、底面は不陸のないように仕上げ掘削しなければならない。

④ 湧水のある場合は、水替を行い基礎地盤を乱さないようにしなければならない。

⑤ 敷石ブロック、アスファルト舗装、敷砂利等が施されている個所は原形普及しなければならない。なお、舗装はカッターで切断すること。

⑥ 掘削箇所に境界標等がある場合は、関係者の立会を求め、引き渡し後苦情のないようにしなければならない。

⑦ 掘削土砂は、片側に堆積し、交通の妨げとならないよう注意しなければならない。

⑧ 掘削下幅は、次のとおり示すとおりである。

掘削深

m

掘削幅

m

1.00まで

0.50

2.00まで

0.60

3.00まで

0.70

(2) 埋戻し復旧工

① 排水管、桝の埋戻しは、周囲にすき間を作らないようダンパーで一層30cm毎に充分突き固め、表層は不陸のないよう仕上げること。

② 埋戻しのときは、大きな石、コンクリートの破片及び舗装ガラなどは絶対に埋め込まないこと。

③ 路面復旧は、原則として原形復旧すること。

④ 残土は、設置者に希望を聞いて速やかに処理すること。

⑤ 埋戻し土が泥炭等の場合は、良質土によって埋戻しすること。

3 管布設工

排水管の生命は、配管、勾配及び接合仕上げにかかっているので、必ずやり方を設けて施工しなければならない。管は、亀裂、歪みなどのないものを使用し、管内部に土砂や雑物が残らないようにその都度確認して布設すること。

又、管の布設は、下流側から上流側に向かって施工し、規定の管勾配に管底面を一致させ、水平器による施工は、絶対に行ってはならない。

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(1) 硬質塩化ビニール管

① 管の切断は、直角にけがき線を記入し、なるべく目の細かい鋸で切断した後、やすり等で平らに仕上げる(テーパーをつける)こと。

② 接着剤は、管径、季節、現場状況などにより速乾性と遅乾性に使い分けること。

③ 砂付け加工に使用する接着剤は、速乾性とすること。

④ 接着剤は接着面に油分、土砂、水分などを乾いたウエスできれいにふき取りし、受け口、差し口両方にハケ等で均一に塗ること。

⑤ 接着剤塗付後は、素早く差し口を受け口に差し込み、そのまましばらく保持すること。なお、差し込みには管をたたき込むようなことをしてはならない。

⑥ 差し込み後受け口端からはみ出した接着剤は、完全にふき取ること。

⑦ 管は、その日のうちに埋め戻すこと。

(2) 掃除口

① 屋外排水設備に設置する掃除口

ア 中間部用掃除口

a 排水管との取付部は、90度大曲Y管継手とする。

b 立上り管は排水管と同径管を使用し、キャップにより蓋をすること。

c 掃除口の防護筐は、堅牢で耐久性のあるものとし、別図のとおりとする。

d 防護筐の設置個所は、雨水の流路とならないよう地盤より高くするなど考慮すること。

イ 終点部用掃除口

a 排水管との取付部は、90度大曲管継手とする。

b その他は、中間部と同様とする。

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② 屋内排水設備に設置する掃除口

ア 雑排水掃除口

a 排水管との取付部は90度大曲Y管継手とする。

b 立上がり管は排水立管と同径管を使用し、掃除口は地盤の高さと同じ高さとし確認できるようにすること。又、損傷のおそれがあるときは防護すること。

イ トイレ用掃除口

a 分離トラップを使用する場合は、トラップとの取付部は45度大曲Y管継手を使用し、掃除口はキャップにより蓋をしてY継手に直接接続すること。

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(3) 会合点

① 屋外排水水管と屋内排水管との会合点で、桝を取付けない場合の継手は、流出を良くするために90度大曲Y、又は45度Yを使用すること。

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4 防護工

(1) 家屋基礎コンクリートあるいはその他の構造物に排水管を貫通させる場合は、管壁と構造体との間に多少のすき間を設け、防水その他密閉する必要がある場合を除きパテ埋め等を行い凍上などの場合に多少管が移動可能な状態にしておかなければならない。

(2) 地下埋設物と並行又は交差する場合は、適切な防護措置を施さなければならない。

(3) 屋外露出配管は、原則的に行ってはならない。やむを得ず露出配管とする場合は、適切な防護、保温を施さなければならない。

(4) 屋内配管は、建物その他の工作物を損傷させないよう心がけ、万一損傷させた場合は、施工後速やかに復旧し、管は支持金具、吊り金具などで堅固に支持すること。

5 桝設置工

(1) 桝には汚水桝と雨水桝とがあり、汚水は汚水管へ、雨水は雨水管へ接続すること。

(2) 桝は地上の荷重を受け又底部は自重を受けるもので基礎は土質に応じて砂、砂利等で固めること。

(3) 宅地内の桝天端は地盤と同一とし、車道については2cm程度低め、歩道は地盤と同一の高さとする。

(4) 汚水桝の底は、インバートを設けなければならない。

(5) 公共汚水桝に接続する場合は、損傷を与えないよう行わなければならない。

6 トラップ設置工

(1) トラップは、管理上支障のない場所で取替や修理のときのため容易な位置としなければならない。

(2) トラップの取付は、接着剤等により漏水のないよう密着させなければならない。又、トラップの支持は水平にして傾きのないよう据え付けると共に、地盤の沈下などにより排水管との間にすき間ができるおそれのあるときは、れんが、コンクリート及びブロック等で固定しなければならない。

(3) 凍結のおそれのあるトラップは、保温材又は電熱器により保温しなければならない。

7 水洗便所

(1) 保温等の措置

① 水洗便所の設置については、建物、便槽の位置及び構造などを十分調査した後、便器、洗浄装置等の特質を設置者に知らせなければならない。なお、暖房、加温については、必要に応じて考慮すること。

② 水洗便所の設置については、屋内、床下部分に保温材を施すなど防寒構造を考慮しなければならない。

③ 便所の窓は、防寒のため二重構造等を考慮しなければならない。

④ トラップの保温及び水道凍結防止のための土砂の埋戻しは良質土で行い、ピット式についてはトラップ上端部までとし、その他については凍結を考慮した深さとする。

(2) 便所の解体

① 便槽の解体は、便槽内に入り込んだ水や水抜栓による水を排除できるよう底部を壊さなければならない。なお、便槽をピットとして再利用する場合は、維持管理上支障のない広さとしなければならない。

② 便槽はくみ取り後によく水洗いをし、入念に消毒すること。

③ 基礎補修によりブロック積上げは、堅固な基礎地盤とし、かつ、雨水の侵入や美観を損なわないよう施工しなければならない。

(3) 器具の取付

① 器具を取付ける場合は、金具を陶器に直接当てずパッキンを用いて適当な強さで締め付けること。又、コンクリート床に取付ける場合には、緩衝材を巻いて施工すること。

② 便器の洗浄装置の取付終了後、通水、通煙試験などで漏水漏気の有無を調べなければならない。

③ 配管は良質土、吊り金具、支持金具等で固定すること。

(4) 改め口の設置

① トイレの床下の改め口は新築、改造にかかわりなく設けること。

② 改め口の位置は、トイレの改造により異なるが、できるだけ維持管理上支障のない位置とすること。

③ 改め口の大きさは、人の出入りができる大きさとする。

(5) ピットの設置

① 大便器が分離トラップを使用する場合は、ピット構造でなければならない。

② 改造により旧便槽をピットとして利用する場合は、従前の便所解体によらなければならない。

③ 新築によりピットを設ける場合は、維持管理上支障のない広さとすること。

この要綱は、平成7年4月1日から施行する。

(令和元年6月26日訓令第5号)

この訓令は、令和元年7月1日から施行する。

別記様式 略

豊頃町下水道排水設備要綱

平成7年3月31日 要綱第1号

(令和元年7月1日施行)

体系情報
第10編 設/第3章 下水道
沿革情報
平成7年3月31日 要綱第1号
令和元年6月26日 訓令第5号